母、手術する2021年03月02日 20時17分


「羊たちの沈黙」小説表紙

母が心臓の手術をするので付き添いをした。長丁場なので、家族控え所で「羊たちの沈黙」(原作)を読んだが表紙カバーは外しておいた。私はこのアートがとても好きなのだが、手術室の前で広げておくタイプのアートではないと思ったので。

母は基本的には体の丈夫な人で、何度かの大きな病気はその体力でやり過ごして来たけれど、老境に至って乳がんを患ってから坂を転がるように体調も体力も低下していき、ついに身体障害者手帳を交付される事態になった。
病気というのはどれだけ気をつけていてもなる時はなるけれど、母の場合はなるべくしてなった、という感想しかない。糖尿病だというのに好きな物を好きな時に好きなように食べる母をたしなめる私に本人曰く「好きな物が食べれんかったら死んだ方がいい」。子供の頃は貧乏で、毎日お腹をすかせていたというから、ある程度は本望であるのかな。麻酔医との打ち合わせの時に、もしもの時は延命しなくていいと訴えていたから、覚悟しているのだろう(悲壮感は漂っていたけど)。

担当医との面談の時に、母の病歴を聞きながら「まさしく病気のデパート…」と笑い出しそうになったが、人間性を疑われそうなので必死に耐えた。疑われるような人間性なんて無いがそもそも自分、コレステロール値が高いので人の事を笑っている場合ではないのである。