他人の著作権侵害、自分の残業2008年07月06日 02時01分

私は片田舎の某デザイン会社で、某旅行会社の折り込みやDMチラシを作る仕事をしてます。どこもそうでしょうが、デザイン会社というのは残業が多いです。

そんななか、私はこの会社に入社して初めて、24時間勤務というのを体験しました(含:数分程度のウトウト)。今までの最長残業は本来の出社時間まででしたが、その記録を塗り替えましたですよー。
うおー、誰かお祝いに何かくれー。

以下はその辺りのぼやき。いちおう問題提起も入ってます。

他の旅行会社はどうか分からないんですが、うちのクライアントの場合、そこで使われる写真は、たいがいはその施設や観光地のパンフレットを利用します。そのパンフレットを、グループの印刷会社写真加工担当に頼んで、印刷に耐えるレベルにスキャニングしてもらってます。パンフレットではなく、既存の観光雑誌や写真集、時には「インターネットから」と指示される事もあります。

印刷物をスキャンして、それをまた印刷物に使うというのは、技術的なところからもいろいろ問題があるのですが、最大の問題は別にあります。印刷、出版関連の仕事についている、「まっとうな」人なら、上記の文章を読んで「?」と思われたと思いますが、要するに著作権の問題なんですねー。

無料配布のリーフレット程度ならまだ大丈夫かもしれないけど、写真集はシャレになりません。書籍もさることながら、インターネットから画像を持ってくる事に関しては、私はかなりの抵抗がありまして、クライアントには「解像度的に使えない写真が多いし、なにぶん、それこそ著作権が…」と、ことあるごとに説明してきました。この手の事は、機会があるたびに言い続けていた事なんです。「裁判をやったら、こちらの勝ち目は低いですけど、それでもやりますか?」と脅した事もあります。

この脅しで、過去に一人だけあきらめた人がいましたが、たいがいはこの一言で終わってしまいました。
「大丈夫だから」…。

ちょっとまずいんです〜、と説明しても、怒りだす人もいたりして、こちらも最近ではあきらめムードだったんですけどね。せめて何かあったときに責任転嫁できるように(この辺が私も卑怯/苦笑)、向こうで探して、メールで送ってもらっていました。

私がこのクライアントでの仕事をし始めて6年程度ですが、このほどついに、著作権侵害で賠償金を支払うという事態が発生した模様なんです。総元締の本社副社長から、全国の支店の所長宛てに緊急報告のメールが届き、ある支店の次長さんが私のところに送ってくれました。

具体的に、どういったことが起きたのかはわかりませんが、そのメールの文面を読んだ、私を含むメンバーの反応は全員一致で「ついに起きたな。そんなん、前から言うとったやん!!」でした。

で、これだけなら「人の話を聞かんからこうなる…」などと言ってりゃいいんですが、このとばっちりが我々の方にも来てしまって、そのせいで本来期限までにしなければならない仕事ができないんですよ。仕事内容は煩雑すぎるので説明しませんが、冒頭の24時間勤務はそういう事情の中で発生しました。

人間40歳くらいになると体力が落ちるし、眠気と疲労で仕事のスピードも落ちるし、週明けからの事を思うと気が重いです。今頃は各営業所の現場もてんやわんやなはずで、私以上に残業してるんでしょうが、そんなん知った事じゃねえ。

大手の新聞や雑誌でさえ、個人のウェブサイトから無断で写真を取ってくる事もあるらしいし、「そんなのは他のところもやってるじゃないか」ということなんでしょうか。写真を都合するのが大変だということはわかります。使用料もいるかもしれないし。でも自分の文章やイラスト、自分の足で撮ってきた写真でウェブサイトなり雑誌なりを作ったら、気軽にそんな事は言えなくなると思うんですけどねえ…。

それに、どこかの写真を使う場合でも、作った本人にコンタクトを取れば、たいがい使用許可がもらえると思いますよ。面倒でも、それを含めて仕事なんじゃないですかねえ。いくら対策会議をしたって、いいかげんな会社の売り上げが向上するとは思えない。…自分も肝に命じねば。

漫画家やアニメーター、芸能人はもっと過酷でしょうが、私の仕事は、仕事を超えませんからね。人に夢を与える訳でも、世の中の役に立つ訳でもないし、がんばったって自分に何か返ってきそうもない。こういう割の悪い仕事をするときに「ボランティアでもしている気になって」とかいうけど、ボランティアのする事にはまだ、夢や希望が含まれてると思うんですよね。

世の中には、私よりもっと過酷で割の悪い仕事をしている人がいると思いますが、我慢できなくなったら逃げましょう。

…と、相当投げやりに今日はここまで。

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