田亀源五郎個展の感想めいたもの2010年09月23日 00時16分

もう一ヶ月以上も前になってしまいましたが、田亀源五郎さんの個展に行ってきた時の話です。田亀先生のブログ記事にリンクを貼らせて頂いてますが、きわどい絵が多数出てくるハズですので、ご覧になる場合はお覚悟ください。

田亀先生を知ったのはホントにごく最近で、実はまともに作品を読んだ事がありません。ネット上でイラストを見つけて…肉体表現が激ツボ!!で、ブログやサイトをチェックしましたが…正直なところ私は、SMも拷問も超苦手(緊縛くらいなら大丈夫)。しかも先生容赦がないし(;▽;)。先生の描く筋肉は大変好きなのに作風は苦手って、あらまあどうしよう(苦笑)。

そういう事なので、個展に行くのも少しだけ悩んだんですが、超グッドタイミングだし、あとで絶対後悔すると思って、おもいきりました。

当日正午過ぎに東京に到着し、ティーヌン銀座店で昼食後、杖歩きのツレをほったからして会場のヴァニラ画廊へ。表通りの歩行者天国から路地に入ってすぐなのに、打って変わった静かな一角。Twitter田亀アカウントで「ローラ・アシュレイの隣」というのを見ていなかったら、しばらくその辺りをさまよっていたかも…というほどわかりにくくて、看板代わりの入口のフライヤーを発見しなかったら、ビルの中に入るのに勇気がいったかも。しかし裏通りにひっそり立ってたとはいえ、公道にこんな絵(失礼)出しといていいんだろうかと、ちょっとだけ思ってしまった(^^;)

ビル内は昭和初期的な、どこか淫靡な雰囲気の漂う造り。エレベーターから若い女性が二人下りて来たので、彼女達も個展に行ったのかなと思いつつ自分もエレベーターに乗りました。

ところが雰囲気に酔っておかしくなったのか、会場を2階と思い込んで降りたら真っ暗。建物を間違ったのかと一旦外に出たり、1-2階をウロウロしたあと、途方に暮れながら各階フロアを確認しつつ階段を上って行き、最上階の4階でお耽美な「ヴァニラ画廊」ロゴの入口を見てようやく安堵。中に入ると、汗まみれにありがたいガンガンの冷房(私、汗臭かっただろうなあ…>_<)と、思いのほかオシャレな内装。そして、その壁を飾る一面の…男根をあられもなくさらけ出す髭男達の絵(SM度90%)。刺激的な光景に脳天グラグラ。加えて田亀御大ご本人がいらしてて、密かに大興奮。けっこう大柄な方なんですねー^^

受付で3種類あるエクスリブリス(蔵書票)のうち、1種類をお土産として頂けるのですが、田亀初心者なので(笑)おとなしめの「ウィルトゥース」のヤツを頂いて参りました♪♪↓
田亀源五郎個展土産蔵書票
他の2種類を見てみたいという勇者はここへどうぞ♥(田亀ブログ内記事です。画像をクリックすると拡大画像が表示されます。実は「侍と河童」と、どっちにしようか迷ったのだった)

個展の内容は田亀ブログ開催初日記事に詳しく説明されてますが、今まで手がけられた雑誌の表紙、挿絵、書き下ろしイラストの他、イラストの原画や漫画原稿などもファイルされてあり、大変興味深く拝見致しました。

記事中の画廊内写真では、絵の掲載された壁面が全部映ってるので、ちょっとしたサムネール展覧会ですね。遠目で見ただけでも“過激な”絵ばっかりだという事がわかりますねー。フライヤーに使われた絵の全体絵もありますよ。

ブログ内の写真はクリックすると各自拡大されるようです。私が一番気に入った作品の写真はないかいな…と探してみたら、ありました。しつこいですが、ご覧になる場合はお覚悟の上で。二人の男性(向かって右が田亀先生)の間にある2枚のうち、下の作品です。

イラストはペン、鉛筆、インク、CG(3D含む)によるものがありました。自分はどの作家作品でも、見るからにCGな塗りや3Dがいまいち好みではないため、ペンと鉛筆作品に多く目が行きました。3Dって田亀先生の“線の色気”がなくてちょっとつまんない…って、生意気でゴメンナサイゴメンナサイ…。でも、「夢魔」(タイトルうろ覚え)は気に入ったかも。この写真の右端の絵です。夢魔が首にかぶりついてる絵ですがちょっと色っぽい。左隣の「人間便器」がやたら派手なので、あまり目立ってなかった気がしますが。

でも先生、ホントこういう男性好きなんですね〜。作風は非道ながらも愛は伝わります。自分は、若い頃の藤竜也さんや、ドン・フライを思い出すのですが、前者はともかく後者は先生ご存知かしら?

ところで自分は展示されているイラスト以上に、漫画原稿に衝撃を受けまして、何がというと、その修正の少なさ!!…性器のじゃなくて(^^;)主線やベタはみ出し等のホワイトです。ざっと見ても50ページ近くある原稿(作品は10ページ前後ごとにバラバラですが)、そのどれにも、ホワイトが入ってなかったんです。これは、私の隣でファイルを見ていた女性も驚いてました。私みたいなヘタクソは、顔の輪郭線を全部ホワイトで消して描き直すし、たった8ページ程度の原稿でも、ホワイトの入ってないページはなかったりします。なので田亀先生の生原稿は驚異です。

漫画家もベテランになると慣れて、修正が少なくなるものかもしれませんし、修正が少ない原稿を持ってこられたのかもしれませんが、それにしたって見事すぎる…。デッサン力もさることながら、ペンタッチに迷いが全然ない。最近は先生も、線画アナログ+加工デジタルという事が多いらしく、「外道の家」や「君よ知るや南の獄」の原稿は線画のみでしたが、ダイレクトに線が出る分凄さが際立っておりました。ベテランの生原稿っていい刺激になります。数百分の一でもいい、その画力が欲しい…(溜息)。

前述した通り、私は拷問などの身体的苦痛、精神的苦痛を感じる描写がとても苦手なので、展示作品の中にも個人的に厳しいものがあるにはありました。ただ、厳しいながら唸るところの方が多かったので、しっかり見ましたけどね。私はどうも(ものによりますが)ゲイ作家の描く肉体表現に強く惹かれているようなので、今回の個展でも、筋肉とか各パーツの表現を堪能しに行った感じです。性交は、“あれば見るけど”程度だなあ…。高校時代にやおいに狂ってた人間のセリフとは思えませんが(苦笑)。

この日はトークショーがあったのですが、夕方からの予定(もちろんお茶の水でメタル漁り)の為に残念ながら私は退場致しました。田亀先生はファンの方が会場で購入された書籍にサインをしてらしたのですが、私が「失礼します〜」と言いながら退室するとき、大変まろやかな笑顔で会釈して下さいまして……いや〜、あの笑顔のどこに、あんな鬼畜なSM魂が隠されているのでしょうか。

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