TIGER&BUNNY -The Rising 雑感 ローテンション編2014/09/14 20:37

 私が「TIGER&BUNNY -The Rising 」を劇場で鑑賞した回数は22回。自分の人生上これほど多く映画館で同一の映画を見たことはないし、おそらく今後も無いと思います。
それほど気に入った本作ですが、納得できなかった所もありまして、今回は敢えて残念に思った所を述べたいと思います。世間では既に感想も出揃い今更感満載ですが、しばらくおつきあいください。
ネタバレあり。


 本作鑑賞直後は面白かった!待った甲斐があった!!と興奮したのに、映画館から帰る道中、何故かモヤモヤし始め、熟考した結果「期待していた事のアテが外れた」からだと気がつきました。

・ライアン・ゴールドスミス/ゴールデンライアンの立ち位置

 衝撃の初お目見えの時からライアンには大変期待していたんです。しかし蓋を開けてみればほぼ「当て馬」だったオチ。ツボがあふれるほど好みのタイプなだけに切なかった。彼は今回のストーリーの中核を成す存在だと思っていたので、なおさらです。
ライアン役、中村氏の「キューピッド」発言に象徴されるように、「彼を介してタイガーとバーナビーがお互いの絆を再認識する」という重要な役割はあったのだろうけれど、見るからに曲者的な風貌と、公式サイドの強引とも言える推し方はなんだったんだと思わざるを得ない。これをミスリードと言うのなら、たしかに効果は絶大だったけれど。

・ワイルドタイガーとゴールデンライアン
 虎徹が諦め半分で現在の立場に甘んじる中、ライアンを通して自分の限界やコンプレックス、存在価値を強烈に意識し対抗意識から奮起する、むしろその為にライアンという試練が登場したのだろうと予想していました。
しかし実際はバーナビーとライアンの関係性に重きが置かれ、虎徹はライアンに関係なくヒーローだった。
私は「悪意はまったくないが結果的に虎徹の立場を圧迫している」ライアンに「心中複雑だがベテランの矜持もあり普段通りに接する」ワイルドタイガー、最後はわだかまり無く大団円。絵面は大変地味ですが、そんなやりとりを観てみたかった。

 話が脱線しますが、The Risingの虎徹を意気消沈させたのは「ワイルドタイガーで居られなくなった」という1点のみだと思います。バーナビーとのコンビ解消は寂しく思っているけれど、バニーと組めなくなる事より、“雇い主から面と向かって衰えたと言われた”“クビになった”(=現時点のウィークポイントを突かれた)方が重大問題だったのでは。一部で言われているほど、虎徹はバーナビーに依存してないし、それはバーナビーも同じ。

 テレビシリーズの第一話、出勤早々ヒーロー事業部閉鎖、そしてまったく本人は知らなかったというシャレならん状態だったけど、この時は周囲から低く扱われていても、ヒーローである事は塞がれなかった。しかしThe Risingは公職にある者から「あなたはヒーローじゃない」と言われてしまう。その差は大きい。
 そして虎徹はヒーローというものに関しては自己中心的で、バーナビーに対して一方的に誤解…身も蓋もなく言うなら、自分のヒーロー感をバーナビーに押し付けている。これは虎徹が自信を無くしたゆえの余裕のなさが原因で、そうでなければ「ギャラにこだわるのもありかなー」くらいで済ませた気がします。気がするだけですが。

・T&Bの行く先
 結局元のサヤにおさまりましたが、二人は離ればなれになるとわりと本気で思っていました。お互い別の道を歩んでも相棒だよ、という具合に。そして、タイガーが今までとは違う可能性を求めて、シュテルンビルト外に出て行く結末を予想しました。歳を取っても新しいチャレンジはできる、という意味を込めて。これぞまさしくライジングと自画自賛したし、「今や海外にもHERO TVのような番組が…」でおっ!?と期待したけれど、予想は見事に外れました。

・ラスボス
 私がタイバニで「これだけはやって欲しくなかった事」のひとつが、ラスボスを美形キャラにすることでした。これは単に私が、若い美形を好まないという個人的な理由によります。(追記:西田氏から「バーナビーとヴィルギルは同等の存在」と公式発言があったので、似た様な風貌になるのは道理かなと感じている所)。
 ヴィルギルは犯罪に手を染めたとはいえ悪人ではなく、強烈な悪意や狂気は無いし、優美な風貌ゆえか迫力に欠けるのは否めない。そのかわりヴィルギルメカ(仮称)がいい感じでした。ヴィルギルはこれでヴィランの仮面をかぶった、というところでしょうか。
 明確な悪ではないラスボスを示した点は良いけれど、どうしてもジェイク・マルチネスのアクの強さや、アルバート・マーベリックのインパクト、H-01の絶対的な強さと比べてしまうんですね。

・「容赦ねえよな現実ってのは」「僕とあの人はもう関係ありませんから」
 ライアン初お目見えとともに公開された特報のこのセリフ。悲劇的結末にはならないと確信していたので、T&Bは断絶するっぽいな、どういう話に持って行くんだろう…と大変ワクワクしたものです。特にバーナビーの口調が以前のツンとは違う冷たさだったので、ただごとではない感がありました。「容赦ねえよな…」は絶望に苛まれ疲れ果てたひとりごち、「僕とあの人は…」は、そんな虎徹に三行半を叩きつけた、T&B最大の危機を表すセリフ…と思いきや。実際は、前者は自嘲気味な愚痴、後者は図星をつかれた故のブラフ。
平田、森田両氏は声色を変えたと思われますが、結局これもミスリードでした。

・ウロボロス…ッッ
 一迅社から発行された「劇場版TIGER&BUNNY -The Beginning- オフィシャルヒーローブック」のP79に、The Risingの広告が載っていて、そこには「バーナビーの過去に見え隠れするウロボロスの影」と言う文章が書かれてあります。この本が発行された時点ではウロボロスが登場する予定だったのか、はたまた編集が適当な文章を入れたのか、その辺りはまったくわかりません。
 私は、この「ウロボロスの影」という文章を楽しみにしていたんですよね…ライアン登場で全て吹っ飛びましたが。そして映画公開後しばらくして「そういえばウロボロス出てないじゃん…」と気がついたのでした。

 最速上映後はモヤモヤを抱えたまま一旦自宅に戻り、舞台挨拶付き上映までずっと起きていて本編を反芻し、導き出した答えは「それならそれで」。しゃあねえなあ、公式がそう行きたいなら私は思考の転換するわーってそんな感じ。
制作者がこんなんどうよ?と出して来たら、ファンは食らいつくか、拒絶するかしかないですよね。私は食らいつく方を選んだ訳です。いちファンの妄想なんて、公式に取って代われるものじゃありませんから。

 …とはいうものの、ライアンの立ち位置と、虎徹とのやりとりの無さだけは、いまだに納得していません。私のモヤモヤはほぼこの2つにつきます(BD/DVD初回限定版のドラマCDがありますが、ひとまず本編のみの話として)。

 マーベリックが居ないThe Risingで何故コンビヒーローにこだわるのか?疑問に思いましたが、虎徹以外の人間がバーナビーの隣にいる、という事実が重要なのでしょう。それなら虎徹とライアンのやりとりは必ずしも必要なく、今現在コンビを組んでいるバーナビーとの会話が多くなるのは当然。映画本編の真のネタバレは別のキャラ(ヴィルギル)。最後は元サヤ。結果ライアンは当て馬ポジションに。前述した通りライアンに大変期待していた私としては、いや公式様そりゃねーわ、と失望もします。その上で「それならそれで」に至ったけれど。


以上、TIGER&BUNNY The Risingでモヤモヤした部分を述べてみました。映画公開前にあれやこれやと予想したのが敗因ですが、しかし一番の原因は、私が鏑木虎徹中心に考え過ぎだという所にあるんでしょう。だってしょうがないじゃない虎廃だもの。

制作者やキャストの雑誌インタビューを読み切ってない為、場合によっては印象が変化する事もあるかもしれません。ストーリーだけではなく、作画に対しても色々感じた事があるのですが、今回は割愛します。そして不満に思った事以上に、気に入った所や萌えどころがあるので、お勝手考察も含めていずれまた。

TIGER&BUNNY -The Rising 雑感 ハイテンション編2014/09/21 21:09

 さて“ローテンション編”を受けて、改めて「気に入った所と萌えどころ」編です。
 納得いかなかった所を「それはそれとして」受け止めたのは前回の記事通りですが、気に入った所がそれを上まってなければ、特典狙いとはいえ22回も見てません(“も”と言えないほど上には上がいてどうかしてるぜアンタら:賞賛)。

 なお先日ようやくThe Risingノベライズを読了したので、そこからの補足部分も加わるかと思いますが、前回同様よろしくおつきあいください。そして前回より長いです。
 本編とノベライズのネタバレあり。


・2部ヒーロー

 バディが2部に所属しているなら出ない訳は無いだろうと思ったけれど、ちゃんと出演を果たし、それなりの役割もあり、気になっていた能力も判明したので万歳です。ヒーローとしての今後が大変不安になる四人ですが、この人たちで短編を見たい所です。

・ベンさん
 出ない訳は無いだろうと(以下略)。
 この人抜きでワイルドタイガーは語れないと思いますので。
 私がバンダイチャンネルでテレビシリーズの第一話を見た時、引き続き二話以降も見ようと思ったのは「続けて見ようと思うほどに面白かった」ことと、あとひとつは彼の「俺はワイルドタイガーのファンだからな」にきゅんとなったからなんですね。
 欲を言えば、バーナビーやライアンとのやり取りを見てみたかったかな。

・アポロンメディア
 経営が悪化しているはずのアポロンメディアの内情が、ほんの少しながら垣間見えた冒頭の会議。株価や会社のイメージが〜というのは本編でも少しあったけれど、ビジネスがらみの光景が出て来たのは面白かったです。普段上から売り上げが〜決算が〜と聞かされている自分もまったく人ごとではないので、身につまされる…。

・ロイズさん
 このタイプのキャラクターは、物語の中では嫌われ者に据えられる事が多いけれど、この作品ではそうではない。主人公に甘いキャラクターではなく、でも彼自身も不憫な目にあって、それでも彼なりの立場があって…という描写が大変気に入ってます。ベンが虎徹に甘いぶん、その対比としても興味深い。
 ノベライズを読むと虎徹の心情も理解している様子で、本気で蔑んでいるんじゃないんだと少し安堵しました。

・タクシードライバー
 前回の文章からもしかしたら、私がThe Risingでの鏑木虎徹に不満を持っているのではないかと思われるかもしれませんが、さにあらず。不満だったのはライアンとの絡みの無さだけで、今作の虎徹は作画からセリフから動向に至るまで、萌えのかたまりです。
 その中でも気に入ってるのがタクシードライバーなんですよ。制作側はそれによって虎徹を落ちぶれた姿として描いたのかもしれないけれど。

 「ベンさんが紹介してくれたんですよ」というセリフから、虎徹を心配したベンからの申し出かと思いきや、自分から言い寄ったなど、まったく抜け目がない!
 しかしこのことから、彼は時にはコネも使う(人によっては狡いと映る)要領の良さが備わってるんだろうなと実感しました。身も蓋もない表現をすると“調子がいい”。ヒーローに復帰したときは、そのお調子者スキルを存分に発揮してるはず(※)。

 社会人として現時点でやらなきゃいけない事は理解してるけれどその一方、カーナビ操作のレクチャーをマジメに聞いていなくて後で後悔したとか、自分の周りの現実に気づきたくなかった(気がつかないふりをしていた)など、ダメな所も満載。

 ひいきの引き倒しだけれど、私はそこが愛しくて仕方ないんです。

(※)テレビシリーズの最初の頃は虎徹に対して苛ついてたんですよ。状況が崖っぷちなだけで、それに対して苦悩もしない底の浅いキャラクターという印象だった。7話からそれが変化し始めて、ジェイクを取り逃がしたあとカリーナに叱責されたときの様子を見てから気になり始めて。今ではすっかり虎廃なんだから、人生どう転ぶかわからない。

・お披露目会
 あのシーンで毎回、何故シュナイダーはあそこまで強引な手を使ったんだろうと思うのですが、あの場面はクライマックスのヴィルギルの告白を深める伏線だったのかもしれませんね。マーク・シュナイダーという男のやり方をあそこで示す事で、スコット父や、リチャード、カーシャ、ジョニーの復讐心の裏付けを取ったように見えます。加えてシュナイダーが派手好きという事もアピールしてる。実際どうなんでしょう西田さん。

 タイバニの世界内で考えるなら、たとえば虎徹を始め回りの人間が「バーナビーは新パートナーとともに1部へ、虎徹は2部残留」を説得したとして、バーナビーがすんなりOKするとは思えない。でももしそうなっていたらどうなったんでしょう?そこで虎徹とバーナビーが断絶したら、よけいドロドロになっていた気がします。

・…からのバーナビー激怒
 幾分抑えてたけど、あの時のバーナビーは相当怒ってますね。マーベリックに指摘された「すぐ熱くなる」事自体は変わってないのかなと思いました。まああんなだまし討ちをされたら誰でも怒るか…。

 私がタイバニを見始めたときは、彼が親の仇を捜しているのは知っていたので、“その為に周りとの交流を断って孤独であろうとしている”という印象だった。それが和らいだのが5話のサマンサとの会話と「にやけてなんかいません」、そして7話の「落ちついていられるか!」の激高でした。彼も感情が爆発するんだとホッとしたんです。

 以前なら、いわば共謀して自分をだました虎徹にまで怒りを向けてたはずなのに、それをしなかった。成長したというのもあるんでしょうけど、より深く鏑木虎徹という人物を知るようになっていたゆえだろうと思います(※腐的想像は無しの方向で)。

 基本的にあの二人は「お互い間違いなく信頼し切ってるのに、根本のところは理解し合えてない」と私は思っているので、どこかで行き違いが発生するのは仕方ないと思ってるんですけれどね。一心同体で何時でも仲がいいというよりは、普段ぶつかってるのにイザという時にはGLM、の方があの二人らしいとさえ思います。

・じれったい
 ノベライズを読むと、電話のシーンや、アポロンメディア前でライアン&バーナビーを見送る虎徹のシーンがじれったくて仕方ない。
 カリーナからバーナビーの事を聞いた虎徹が、猛烈に後悔してアポロンメディアに走って行く所で、何故バーナビーを信じてやらんかったの!となります。
 実際“そこまで金に煩かったか”って疑問に思ってる描写がある。そこから思考が発展しなかったのは、前回指摘した余裕の無さが原因かと思われましたがしかし、虎徹はテレビシリーズでも、人の心を解する事には難ありでした。嗚呼。

・「考え過ぎだろ」
 シュテルンブリッジ事故後のヒーロー達の会話のシーン。バイソンはバーナビーの考えを否定していますが、あの場にタイガーが居たら、バイソンと同じように反対意見を述べた気がするんですよ。同意はしないと思う。
 そして私にはあの時のロックバイソンが、タイガーの代わりにバーナビーに寄り添っているように見えました。バイソンには、そういう意識はまったくないと思います。そしてあくまでも私にはそう見えただけです。

・大人の階段登ってる

 外堀を着実に埋めてるぞ、がんばれカリーナ!!…と盛り上がる私に、一緒に見に行った同僚の「でも虎徹さん自身が最後の難関ですよね」の一言がヒット。その通り過ぎて泣いた。うっ…がんばれカリーナ…。

 カリーナの様子もさることながら、虎徹の、彼女への態度がテレビシリーズ最初の頃とは段違いで。「容赦ねえよな現実ってのは」が、カリーナとの会話の中で出てくるとは思わなかった。これは大変驚きました。当初は「口うるさいオヤジと小生意気なJK」でしかなかったのが、「愚痴をこぼせる気心の知れた同僚」になってる。感無量です。

・あなたはもうヒーローじゃない
 この場面はいまだに直視できないんですよ。The Rising中一番辛い所です。でも警官の話し方が途中で敬意を込めた表現になったと感じるのは、気のせいでしょうか?
 警官の間で、今はヒーローじゃないけど丁寧な応対をするに値する人物、と認知されていたとしたら全俺が泣きます。

・私は私
 ネイサンのエピソードは、テレビシリーズの一話分を使って丁寧に描いて欲しかったんですが、先の予定が白紙なら仕方ありません。
 ネイサンのようなタイプのキャラクターは、少なくともヒーローやアクションものではギャグ要員かやられ役で、シリアスに書かれた事は無かった(もしかしたらどこかにはあるのかもしれないけど)。そしてその考えられる人生の問題まで描いた例も今まで無かった。それだけでもやはりタイバニは大したアニメだと思います。

・破壊坊主
 女子組相手に苛烈な攻撃をしたジョニー・ウォンですが、私は存外このキャラが気に入ってます。
 禅宗の一派である臨済宗には大変凄い話がいくつかあって、殴るわ怒鳴るわ凄まじく、ジョニーのあの様を見た時に「臨済宗の坊さんみたいだな」と思いました(臨済宗のお坊さん全てが過激な訳ではないので念のため)。

 ただ、臨済宗の件はあくまでも修行の一環でのことであり、The Risingのジョニーの行動は「ヒーロー目線で見ている我々には」犯罪行為でしかない。しかし彼を含めたリチャード、カーシャ、アンドリューは、シュナイダーという巨悪に鉄槌を下したいだけであり、一般市民に死者を出さないようにしている(※1)。彼らから見たらヒーローズはシュナイダーに組する邪魔者でしかない。このあたり、立場を変えて見たら…と考えられるのもタイバニらしいですな。街を破壊した事には変わりありませんが。

 ジョニーに対する感想でいまいちすんなり落ちないのが「僧侶なのに悟りを開いてないのか」と「女子供に暴力を振るうなんて」で、前者は学研の「禅の本」を読んで呆気にとられていただきたいし、後者はヒーローであるドラゴンキッドとブルーローズに対してなんと無礼なと思う次第です。だいたい、暴力なんて女子供以外にもふるっちゃダメでしょう。

 しかしブルーローズには、いざというときの重装備を考えてあげて欲しいとわりと本気で思いました(※2)。

(※1:あの騒乱で死人が出てないというのが信じられないけど、EDの三人組は一般房に居るようなのでやはり死者は存在していなかったと思われる)
(※2:桂正和の初期案ブルーローズはフルフェイスのヘルメットだったのに、「アイドルヒーローだから」という理由で没になった。さとう監督はブルーローズに肉弾戦をさせる気がなかったんだろうなあ。対H-01戦ではけっこう吹っ飛ばされているけど)。

・龍の稲妻
 ドラゴンキッドの「何にも知らないくせに…ファイヤーさんを悪く言うな!」は、アラフィフにして初めて、映画館で涙腺が緩んだセリフです。パオリンの素直で真っすぐな性格がよく出てますがしかし、突き詰めて考えると“青い”んですよ。
 なぜなら、ドラゴンキッドもまた、ネイサンの苦悩を知らない。ネイサン本人も意識していない(おそらく意識しないようにしていた=解決してないゆえにトラウマとして出て来てしまった)のだから気がつかないのも当然なんですけれど。
 でもその青い発言(無垢な精神)でネイサン=ファイヤーエンブレムが復活したというあたりが、風変わりなタイバニも元は王道である証かもしれません。

 しかし対ジョニー戦はドラゴンキッドにとって、武道家としての自分を見つめ直すきっかけになったかもしれない。英才教育を受けたと言ってもキッドは所詮“お嬢ちゃん”でしかなかった訳ですから。The Rising以降、よりいっそう鍛錬に励むようになっていたら、格闘漫画好きの私が喜びます。

・努力の甲斐
 折紙サイクロンについてはこれに尽きるでしょう。自信過少でネガティブを自覚しつつ、コツコツと頑張っていた成果をThe Risingで見る事が出来ました。元々の観察眼と思慮深さに加え、自分の能力を生かす為の鍛錬を欠かさなかった。折紙は趣味の奇抜さは置いておくとしても、ヒーロー中一番まともなのかも。

・安定のキング
 スカイハイは安定してましたよね。The Risingでは多少心の揺れがあったけど、キングであることは変わらず。多分テレビシリーズ15話が彼の最大のダメージかつターニングポイントで、それ以来精神的にもヒーローとしての方向性も迷いが無くなっている印象です。シスの与えた影響は偉大だった。

・お母さんに似て来たな
 父をKick Assする様を見て、彼女の母親も存命中はこうだったんだろうなと思い浮かべる事が出来たのが虎廃としても至福でした。病床のはかなげな鏑木友恵しか見た事ありませんから(遅れてハマった私は、テレビシリーズ円盤の、「腹パン」と名高い初回限定版特典ドラマCDを未聴なのです)。
 
 しかし彼女の振る舞いで最高だったのはなんと言っても「バーナビー?」からの身だしなみを整えつつ最後に放った「やっぱいいわー」でしょう。まさしく“鏑木虎徹の娘:バーナビーファン”だとニヤニヤしました。

・母と兄
 映画公開前に村正のThe Rising出演を知って小躍りしたということでお察しください。安寿のセリフ数はあんなものだと思いますが、ヒーローをやる上でどれだけ母に世話になっているのかは虎徹もわかってると思うので、もし何かスピンオフを作るとしたら、こちらの鏑木親子のエピソードを是非お願いしたいものです。

・管理官殿
 相変わらず安定の虎廃だったので満足です。ただ、ラストの「ヴィルギル支援」はちょっと理解不能と言うかわかりにくかった。
 映画公開直後は「2部ヒーローの記載をお忘れですよ」がヤブヘビだと話題になりましたが、これを言われた時点でシュナイダーは既に2部解体に動いてたんですね。「んん〜?」というあのセリフは「もう存在しないので関係ないよーん」と同意だったんだ…。

・オーナー様

 「傾きかけてる企業の経営を立て直す」という大義名分において、シュナイダーが2部に下した決定は間違っては居ないんですよね。不必要なものは捨てる、役に立たないと思ったら排除する、排除された方は冗談じゃないですが、良い結果になればその行為の是非は問われなくなる。そんな例は世の中に掃いて捨てるほどありますし。
 The Risingではシュナイダーは滅んでしまいましたけど、あれほどの男がここで簡単にへこたれるとも思えません。

・ヴィルギルメカ
 第1形態が好きです。動きも不気味で大変いい感じ。贅沢を言うなら、ヴィルギルが姿を現したあとカニ形態になる時に、“機械を取り込んでその一部になる”様子が出たらもっとカッコ良かったかなあ。本編では“部品がくっつく”感じでしたから(実際どうすればいいのか私にもわかりません)。

・重力王子
 彼がどういう立場で居て欲しかったかは前回明記したので割愛しますが、とにかく「思ってるのと違った」。違ったのは彼の立ち位置の話で、話し方や振る舞いは事前イメージ通りだったけれど。

 最初The Risingで見た時は、ずいぶんつかみどころが無いキャラクターと感じました。後日公式からCDドラマやノベライズ、キャラ設定が発表になったけれど、それを補完しようとすると、今度はThe Rising出演分だけでは物足りなくなるんですよね。元々はテレビシリーズに出演するくらいの密度があるキャラクターでしょう。
 虎徹とバーナビーが打ち解けるまで10話分必要でしたが、ライアンとバーナビー、または虎徹とライアンの関係を書こうとしても、それくらい必要かもしれない。映画では短か過ぎるんです。

 ライアンは立場上イレギュラーなので、仮にテレビシリーズ第二期が来たとしても本編に絡む理由がありません。とはいえ映画のみで納めるには惜しすぎるキャラクターであるのもまた事実。何とかなったら…いいな?(チラッチラッ)

・ジュニア君
 聞いた時には「そう来たか!!」と膝を打ちました。その人以外に誰もそう呼ばない名称「バニー」かたや「ジュニア君」。しかしJr.はれっきとしたバーナビーの名前なので、、「バニー」ほどふざけてない…はずです。
 ところでバーナビー・ブルックス Jr.が本名だという件は解決済みでしたっけ?


 以上、ひととおり気に入った要素を挙げてみました。まだありますが、この辺りで抑えておきます。
 
 最後に作画面で感想を述べると、あのキャラデザをよく動かしたなと。
 私はThe Risingの虎徹がちゃんと中年に見える点で大変喜んでます。
「桂正和絵に近く」を実現しようとした故なのか、作画が安定してないのが残念なのですが、通常から考えても全体的なレベルは高い。いや、実際大変だったんだろうなあ。
 テレビシリーズで次があっても、残念ながらこの絵柄では作れないでしょうねえ。